トルコ大統領、低金利政策持続を改めて強調

●「現政権は金利を引き上げず、今後も引き下げる」と言明

●インフレ高進は「トルコの抱える問題の一つに過ぎない」

トルコのエルドアン大統領は6日、閣議後のテレビ演説で、利上げを実施しない方針を改めて確認した。5月のインフレ率が73.5%に上ったのにもかかわらず、低金利政策を維持する姿勢だ。中央銀行は年初以来、政策金利を14%に据え置いている。

エルドアン大統領は、「現政権は金利を引き上げない。逆に、今後も引き下げる」と言明した。「低金利でインフレ率を低下させる」という持論をいま一度、明確化した形だ。インフレの原因については、「一つは外貨貯金を手放さない者がいることにあり、もう一つは増産のための輸入材(の値上がり)である」とし、金融緩和に誤りがないという立場を示した。

また、インフレ高進を「トルコの抱える問題の一つに過ぎない」とし、その決定的な意味を否定した。

エルドアン大統領は「低金利政策で生産、輸出、雇用を増やせば経常黒字が生み出され、通貨安定・インフレ低下につながる」という持論を展開し、これを「新経済政策」と名付けている。利上げで通貨流通量を縮小させて物価上昇を抑えるという一般の経済理論と真逆の考え方だ。

トルコ中銀は昨年9月から12月にかけて政策金利を合計5ポイント引き下げた。それ以降も、金利は物価上昇率を下回る14%で維持されている。インフレ率は昨年10月の19.9%から加速を続け、5月の73.5%は1998年10月以来で最高だ。リラ安に加え、ウクライナ戦争とエネルギー価格高騰がインフレ圧力を強めている。

一方で、トルコ統計局の統計値にも疑念がもたれている。5月のデータから、算出方法の詳細の一部が非公開となったためだ。5月の物価上昇率は前月比で3%とされているが、ブルームバーグ通信のアナリスト予想では13人のうち11人が発表値を上回る予想値を出していた。また、トルコの独立系経済専門家でつくるENAグループによると、実際の年間インフレ率は5月に161%弱に達したという。

政府は、民間の統計値にいらだっているらしく、独立系エコノミストによる経済指標公表に制限を検討している。トルコ統計局の事前許可制とし、違反者に懲役3年までの刑を科す方向だ。

◆担保におけるリラ建て資産のウエイト増加

中銀は6日、今月24日から担保システムにおけるリラ建て資産のウエイトを引き上げると発表した。具体的には、スワップ取引において、担保に占めるリラ建て国債の最低比率を45%へ増やすとともに、担保に供する物価連動債に適用される割引率も15%から30%へ引き上げる。

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