欧州スパコン整備計画、クラクフが立地の一つに

●スパコン「EHPCPL」を来年末までに設置

●演算能力は現行機種「アテナ」の5.05ペタフロップスの数倍

クラクフのサイフロネット科学計算センター(Cyfronet AGH)で、来年末までにスーパーコンピューター「EHPCPL」が設置される。欧州連合(EU)が進める「欧州高性能コンピューティング共同プロジェクト(EuroHPC)」で先月、新たに配備が決まった5基のうちの1つで、稼働すると世界のスパコン性能ランキングで50位内に入ると予測されている。

EHPCPLの演算能力は明らかにされていないが、サイフロネットが現在運営する「アテナ(Athena)」(5.05ペタフロップス:1ペタフロップスは毎秒1,000兆回の演算)の数倍になるという。

EuroHPCは、最先端の科学技術や産業競争力を強化する基盤となるEU独自のHPCシステムを構築するプロジェクトだ。今回の立地選定では、クラクフのほか、独ユーリッヒ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランドが選ばれた。エクサスケール、プリエクサスケールのいずれかのスパコンが整備される(エクサスケールスパコンは、毎秒100京回以上の演算能力を持つ=1,000ペタフロップス)。助成金はEUの研究開発支援計画「ホライズン・ヨーロッパ」と、デジタル化推進計画「デジタル・ヨーロッパ・プログラム」の予算から拠出される。

EuroHPCでは、すでに第1弾として欧州8カ所へのHPC設置を進めている。このうち、フィンランド、スロベニア、ルクセンブルグ、ブルガリア、チェコでは稼働済み。イタリアとポルトガル、スペインではその準備が進んでいる。

スパコンによるシミュレーションは理論、実験と並ぶ科学技術の第3の手法として不可欠だ。病気の治療法や薬の開発、気象予測、地震や津波の被害予測など、幅広い分野に応用できる。

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