●同国企業は代替プロテイン分野で米に次ぐ投資資金を集めている
●イスラエルの代替プロテイン市場の上期成長率は前年比160%
イスラエルのグッド・フード・インスティチュート(GFI)がこのほど発表した報告書によると、同国企業が代替プロテインの分野で米国に次ぎ多くの投資資金を集めていることがわかった。同分野には植物を原料とする代替肉や乳製品、卵のほか、培養肉、培養乳製品及び培養シーフード、発酵加工品などが含まれる。
同報告書によると、今年上半期の代替プロテイン市場におけるイスラエルのスタートアップに対する投資額は3億2,000万ドルで、世界全体の18%を占めた。一方米国の代替プロテイン関連企業への投資額は8億5,700万ドルに上った。今年上半期の代替プロテインの市場規模は世界全体で17億5,000万ドルだった。
植物原料を用いた食品を開発するイスラエルのスタートアップへの投資額は今年上半期だけで1億6,000万ドルに上った。これは米国をわずかに上回るもので、世界全体の投資額の22パーセントに相当する。バクテリアや菌類などの微生物を用いる発酵プロテインに関しては、同国は世界全体の38%に相当する1億5,200万ドルを集めた。
イスラエルにおける代替プロテイン市場の今年上半期の成長率は前年比160%で、2021年の通年の伸び率は450%に上る。同分野のスタートアップは昨年、6億2,300万ドルの調達に成功している。
今年注目を集めたのは3Dプリンターを利用して植物由来原料から代替肉を生産するリディファイン・ミート(Redefine Meat)で、1億3,500万ドルを調達した。同社は資金で国内とオランダにある生産ラインを強化する他、レストランなどとの連携を拡大する方針だ。製品にはラム肉と牛肉の他、ハンバーガー、ソーセージ、羊肉風ケバブ、挽肉の代替プロテイン製品がある。同社はミシュランの格付けを獲得したレストランなどイスラエルと欧州に200の取引先を持つ。今年7月に同社はホテルなどを運営する同国のセリナとの間で植物由来の代替肉を供給する契約を締結している。
そのほか、代替牛乳を開発するレミルク(Remilk)は同国のスタートアップとしては過去2番目の規模となる1億2,000万ドルの調達に成功している。イースト菌による発酵プロセスを利用しミルクプロテインを生産する同社は欧州と米国に工場を持つ。