ポーランドのスタートアップ、資金調達難に

●VC市場は世界的に縮小、7-9月期の投資額は50%減となる見通し

●新型コロナ流行に起因する投資ブームが一段落したのが一因

市場調査会社『CBインサイト』によると、ベンチャーキャピタル(VC)市場が世界的に大きく縮小しており、今年7-9月期の投資額は前年比50%減となる見通しだ。その影響は中東欧諸国にも及び、ポーランドでもスタートアップへの投資が減少する可能性がある。同国についてはシード段階のスタートアップへの投資を中心に投資規模そのものは変わっていないが、さらに上のステージの企業に対する投資額は減少する傾向が指摘されている。

『CBインサイト』によると、VCによる世界全体の投資額は7-9月期は840億ドルとなる見通しだ。前年同期比では半減し、過去2年間で最悪になると予想されている。コロナウイルスの流行に起因するスタートアップへの投資ブームが一段落したのが一因だ。ポーランドの景気も今後後退すると予想されており、同国へのVCによる投資にも影響する可能性がある。

しかし同国のVCのCzysta3.vcは、例年9月は8月の減少から反転するのが通例で、現時点で判断するのは時期尚早だと主張する。下半期は例年上半期よりも実績が良く大きな減少はないとの予想だ。一方で重要なのは官民ファンドの投資の多くが今年満期を迎えることで、収益を回収したファンドは運用を見直し投資を減らすためスタートアップの資金獲得が難しくなる可能性があるとの見方を示す。

現在、VC各社は投資条件が緩く資本注入が少ない投資先を求めているが、これは民間投資家と政府系ファンドの条件が折り合わないためである。投資するファンドの規模を小さくしようとしていることも市場の縮小につながっている。

ポーランドは新興市場であり、プレシードを含むシード段階のスタートアップへの投資に資金が依然として集中しているが、調達ラウンドの規模そのものは大きく変わっていない。しかし中東欧以外のファンドが参加するラウンドCやラウンドDの企業への投資については趨勢が減少傾向にあるのが現状だ。

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