ポーランド肥料大手アゾティが一部生産を中断 、ガス価格高騰で

●対象となる製品には窒素肥料やアンモニアが含まれる

●PKNオルレン傘下のアンヴィルも窒素肥料の生産中止を発表

ポーランドの肥料・化学大手グルパ・アゾティと子会社のプラヴィ(Pulawy)は23日、一部製品の生産停止や生産減に踏み切る計画を明らかにした。対象となる製品には窒素肥料やアンモニアが含まれる。両社は燃料となる天然ガスの価格高騰による収益率の低下を生産減の理由として挙げた。

アゾティは窒素肥料、カプロラクタム及びナイロン6の生産ラインを一時停止する。プラヴィはアンモニアの設備稼働率を10%まで引き下げる。両社はガス価格の高騰に対応できておらず今後の見通しも立っていないと述べた。

生産量の大幅な削減はアゾティの収益にも影響する見通しだ。固定費の大きい装置産業では生産減はEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の減少に直結する。生産量の削減が9月半ばまで続けば7-9月期のEBITDAが赤字となる可能性もある。

同国のもう1つの肥料メーカーで石油・ガス大手PKNオルレン傘下のアンヴィル(Anwil)も23日、ガス価格を理由に窒素肥料の生産中止を発表した。

コバルチュク農相はポーランド通信(PAP)に対し、グルパ・アゾティの肥料の在庫量は10万トンを上回っており十分な量が確保されていると述べ、農家の不安払拭に努めた。

欧州の天然ガスの指標価格であるオランダTTFは23日、9月出荷分でメガワット時当たり260ユーロを付けた。これは昨年8月の価格の10倍に当たる。5月末は90ユーロだった。

天然ガス価格の高騰はロシアが欧州向けの供給を削減したことに起因するもので、欧州諸国は冬季を迎える前に備蓄を増やしガス危機に対応しようとしている。

欧州連合(EU)首脳は、ロシアが欧州への供給量を減らし冬場の経済及びエネルギー危機につなげようとしていると非難している。

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