トルコ中銀が予想外の利下げ、インフレ率80%を目前に

●経済を下支えするためと中銀は説明

●利下げはエルドアン大統領の指示を受けたもの=エコノミスト

トルコ中央銀行は18日の金融政策決定会合で、主要政策金利である7日物レポ金利を1ポイント引き下げ、13%に設定した。利下げは昨年12月以来、8カ月ぶり。中銀は前回まで7会合連続で金利を据え置いており、市場は今回も据え置きを予想していた。インフレ率が80%に迫る中、景気後退の兆しが表れており、利下げを通じて経済を下支えする狙いがある。

同国のインフレ率は7月に79.6%となり、1998年9月(80.4%)以来の高水準を記録した。インフレ率の上昇は14カ月連続で、特に昨年11月からの上げ幅の合計は58.3ポイントに達する。インフレ率の上昇について中銀は、地政学的な緊張の増大に伴うエネルギーコストの上昇や、金融政策の埒外にある供給側の要因、経済の基礎的な条件を反映していない価格設定の影響などによるものだとした。

中銀は声明で、地域紛争の解決と、物価の安定に向けて講じる「断固たる」措置を背景にディスインフレ効果が現れることを期待しているとしつつ、足元の第3四半期は経済活動の減退傾向が認められると指摘。不確実性や地政学的リスクが高まる中、成長の勢いと好調な雇用環境の維持に向けて金融支援が必要なため1ポイントの利下げを決めたと説明した。そのうえで、金利水準は現在の見通しの下では適切だと強調した。

今後については、インフレ率を5%程度とする中期目標が達成されるまで「利用可能なすべての措置」を取るとする従来の方針を繰り返した。

■市場は中銀の政策に懐疑的

今回の利下げを受け、リラの為替相場は対米ドルで一時18.1リラまで下落した。インフレの高進が止まらない中での利下げに対し、市場からは無謀で場当たり的な試みだとする声が出ている。ブルーベイ・アセットマネジメントのティモシー・アッシュ氏は「話にならない」とコメント。中銀はトルコとつながりの深いロシアや湾岸諸国から流入する外貨を源資に、ドル売りの為替介入を実施してリラを買い支える算段だとの見方を示した。

キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ジェイソン・チュービー氏は「中銀が(金利を目の敵にする)エルドアン大統領の指示を受けていることは明白だ」と断言。今後数カ月にわたり追加利下げを行うならば「より制限的な資本規制を導入するだろう」と述べた。

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