露ガスプロム、フランスへのガス供給停止

●仏の8月末時のガス備蓄率は90%、夏中に100%を確保する計画

●仏におけるロシア産ガスへの依存度は独などに比べ低い

ロシア天然ガス最大手の国営ガスプロムは8月30日、フランスのエネルギー大手エンジー(Engie)へのガス供給を9月1日付で停止すると発表した。エンジーが7月供給分の支払いを怠っていることが理由で、決済手続きが完了すれば供給を再開するという。エンジーは同日、契約に関わる見解相違により供給量を減らすとガスプロムから通知を受けたことを明らかにした。

ヴェラン政府報道官によると、フランスのガス備蓄率は現在約90%で、この夏中に備蓄量100%を確保する計画だ。エンジーによると、ガスプロムからの調達量は2月のウクライナ戦争勃発を機に大幅に減少し、直近では1カ月当たり1.5テラワット時に落ち込んでいる。だが、顧客需要を満たす量をすでに確保しており、供給中断による影響を抑える対処策もとっている。仏エネルギー転換省もこの冬のガス供給への影響はないとみている。

フランスは総発電量の約7割を原子力発電が担い、ガスへの依存度は低い。ロシアからの調達量も国内総消費量の17%にとどまっている。一方、ガス調達量の5割以上をロシアに依存するドイツでは、主要調達ルートである「ノルドストリーム1」の供給量が20%に激減している。8月31日から4日間のメンテナンスによる供給停止後、ロシアが意図的に再開を遅らせるのではないかと懸念する向きが多い。

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