プラハの旧市街広場に今月中旬、「マフィア記念碑」が登場した。彫刻家のヤン・パディシャークさんが製作したもので、アンドレイ・バビシュ前首相(ANO)、パヴェル・ベーム元プラハ市長(市民民主党:ODS)、ODSの「ゴットファーザー」と言われるロマン・ヤノウシェク、イヴォ・リティック両氏がかたどられている。
このアート・イベントは、プラハ市議会に出馬する左派連合「連帯」の支援で実現した。22,23日の地方選で、バビシュ前首相率いる大衆迎合政党ANOと、右派・ODSが連立を組みそうだと予測されたのを受けて、警鐘を鳴らす目的だ。
彫像の人物はいずれも、チェコ政府・プラハ市における権力乱用、組織的汚職で訴追された大物政治家およびロビー活動家。しかし誰もまだ有罪判決を受けていない。この4人の彫像を「マフィア記念碑」として展示したのには、選挙の結果次第では、不正で懐を肥やしながら責任を問われずに生きていく人が今後も出る、と市民に呼びかける意図があった。
プラハ市政は、過去30年のほとんどの期間、ODSが運営してきた。過去にODS出身の首相がすべてスキャンダルがらみで辞任していることからもわかるように、同党の汚職の歴史は長い。結果としてプラハでも汚職がはびこり、この夏もODSの参加する右派連合「スポル」の政治家が逮捕された。
市議会選では懸念が現実となり、「スポル」が勝利して最大会派となった。現在、連立交渉を進めているが、ODSが市長を出すのは確実視されている。