2022/10/12

その他産業

ロシアがサハリン1の事業主体を変更、今夏のサハリン2に続き

この記事の要約

●政府による国内のエネルギー資源の支配強化が鮮明に●米エクソンは3月に同事業からの撤退を表明ロシアのプーチン大統領は7日、サハリン石油ガス開発(SODECO)が権益を持つ極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン1」の事業主 […]

●政府による国内のエネルギー資源の支配強化が鮮明に

●米エクソンは3月に同事業からの撤退を表明

ロシアのプーチン大統領は7日、サハリン石油ガス開発(SODECO)が権益を持つ極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン1」の事業主体を、新設する国営企業に変更する大統領令に署名した。今年夏の「サハリン2」の事業主体変更に続くもので、政府による国内のエネルギー資源の支配強化が鮮明になっている。

大統領令によると、国営石油大手ロスネフチ子会社のサハリンモルネフテガス・シェルフ(Sakhalinmorneftegaz shelf)が管理する新会社にサハリン1のすべての権益を移す。ロシア国外の株主は政府に対し1カ月以内に出資分に応じた権益の保持を申請し、承認を受けなければならない。

サハリン1にはプロジェクトを主導する米石油大手エクソンモービルが30%、SODECOが30%、ロスネフチが20%、インド石油天然ガス公社の子会社のONGCヴィデシュが20%を出資する。エクソンモービルは3月はじめに同プロジェクトからの撤退を発表したが、8月に入りプーチン大統領は重要事業からの外資系企業の撤退を12月末まで禁止する大統領令を公布している。

SODECOには経済産業省と伊藤忠商事、石油資源開発(JAPEX)、丸紅、国際石油開発帝石(INPEX)が参加しており、日本政府の出資分が50%を占める。西村康稔経済産業相は9日、サハリン1について、原油輸入の9割以上を中東に依存する日本にとりエネルギー調達の多角化の点で重要なプロジェクトだと述べ、権益保持を目指す方針を明らかにした。経産省によると、サハリン1からの輸入は現在、停止している。

サハリン1の石油生産量はウクライナ侵攻前の22万バレル/日(bpd)から7月は1万bpdに低下した。