ロシアへの追加制裁を正式決定、露産石油に上限設定へ

●ウクライナ東・南部4州の一方的な併合強行を受けたもの

●制裁は今回が第8弾

欧州連合(EU)加盟国は6日、ロシアがウクライナ東・南部4州の一方的な「併合」に踏み切ったことを受け、ロシアへの追加制裁を正式決定した。ロシア産石油の取引価格に上限を設けることや、ロシア産製品の輸入禁止枠の拡大などを柱とする内容。石油価格の上限設定は、主要7カ国(G7)の合意に基づく措置で、ロシアの収入を減らして戦費調達を困難にする狙いがある。追加制裁はEU官報に掲載後、速やかに発動される。

第8弾となる対ロ制裁パッケージは、欧州委員会が9月下旬に発表していた。閣僚理事会での合意によると、EUはロシア産石油の価格に上限を設定し、それを超える価格で域外国に輸出される原油や石油製品について、EU域内の事業者が海上輸送を行ったり、融資や仲介サービスを提供することを禁止する。

EU自体は6月に採択した第6弾の制裁パッケージで、海上輸送によるロシア産石油の輸入禁止を決定しており、原油は12月5日、石油製品は2023年2月5日から禁輸措置が適用されることになっている。しかし、制裁を実施しない域外国へは引き続きロシア産石油が輸出されるため、制裁の実効性が問われていた。G7の合意に沿って価格上限を設定し、それ以下の価格で取引される場合に限り輸送を認める仕組みを導入することで、ロシアの収入を減らす一方、国際的なエネルギー価格の安定につながるとみられている。

追加制裁ではこのほか、ロシアからの輸入禁止枠を拡大し、鉄鋼製品や木材パルプ、化学品、プラスチック、たばこなどを対象品目に加える。EUからロシアへの輸出規制も強化し、航空部品や電子部品、特定の化学関連品などの輸出を禁止する。また、ロシア企業へのIT(情報技術)、建築、エンジニアリング、法律分野のサービス提供を禁止する。

また、EU加盟国の市民がロシア国営企業の役員に就くことを禁じるほか、対ロ制裁に従わない企業への取り締まりを強化する。

さらにウクライナ4州でのロシア編入への賛否を問う「住民投票」の強行に関与したロシア当局者や軍の高官、戦争に関する偽情報を拡散した個人・団体を新たに制裁対象に加えた。

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