EV企業の女性CEO、「女性のためのEV」をイスラエルで開発

●デザイン、操作性、機能に至るまで女性向けに設計

●OSR社はAIプラットフォーム「エヴォリューション」の開発元

テルアビブに近いペタフ・ティクヴァで、スイスの自動車部品メーカーOSRエンタープライジズが「女性のための」電気自動車(EV)を開発している。この夏、100人を新規雇用し、イスラエル開発センターの従業員数を倍増させた。オリット・シフマン最高経営責任者(CEO)によると、デザインから操作性、機能に至るまで女性向けになるという。1年以内に発表する計画だ。

シフマンCEOは、新型EVについて、女性的な能力を活用して複雑な問題に対応し、安全性に優れ、子ども連れでも使いやすいモデル、と説明する。手動操作に切り替えるときは、まずドライバーの様子を観察し、ドライバーの注意力が十分かどうかを確認するという。

また、ドライバーおよび乗員がデータと引き換えに企業から金銭を受け取れる仕組みも盛り込む。例えば、自動車メーカーがリアルタイムで故障情報を得たり、位置情報やドライバーの興味関心に基づいたセールスを展開したりできるようになる。

世界で販売されているEVモデルの多くが2010年代創業の若い企業が生み出したものだが、OSRも11年に設立された。創業者のシフマンCEOはペタフ・ティクヴァ出身のスイス人女性だ。EV企業のトップに女性が座るのは珍しい。

OSRは自動運転車、コネクテッドカーの実現に向けて車載ネットワークを高速化する人工知能(AI)ベースのプラットフォーム「エヴォリューション」を開発販売する。名前はあまり知られていないが、英ジャガーなど有名メーカーと取引がある。これまでの調達資金は累計で5億シェケル(約1億4,300万ユーロ)に上るが、新型EVの商業的成功にはさらに数百万米ドル単位の資金が必要になりそうだ。シフマンCEOは、「EVプロジェクトにもっと投資が集まっていたら、すでに黒字転換していたと思う」と調達の難しさを語っている。

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