ロシアの攻撃で破壊された街角に、3Dプリンタ技術を使って学校を建てるプロジェクトがウクライナ西部リビウで始まり、このほど定礎式が行われた。先端技術を利用して人道支援を行う非営利団体「Team4UA」が市当局や、3Dテクノロジー企業と提携して進めているもので、東部などから避難してきた子どもに教育を受ける機会を提供するのが狙い。
リビウには公に知られているだけでも、国内の他の地域から逃げてきた人が25万人も住んでいる。このうち7万5,000人以上が子どもだ。国際NGOのワールドビジョンによれば、戦災で学校に行けないかもしれないウクライナの子どもの数は360万人、精神的に障害を負う可能性のある子どもは150万人と推測される。戦争のなかでも学校に行き、規則的な生活を送ることが、子どもたちの心と体の健康にとって大切なのは確かだ。
Team4UAによれば、3D技術を使えば従来の工法に比べて建物を速く、安く建てられる。建物自体もテントのような一時しのぎではなく、長く使えるという。
プロジェクト自身も長く続けることを念頭に置いている。Team4UAの目標は、3Dプリンタ15台をウクライナへ運び込み、現地の人が操作できるよう訓練し、ミサイル攻撃などで崩壊した建物のコンクリートを材料に必要部材をプリントアウトして新しい建物を建てられる体制を構築することだ。そうすれば、必要な場所に設備を運び、橋でも倉庫でも建てられる。
ウクライナでは住宅を必要としている人が大勢おり、リビウだけでも1万軒の需要がある。「最短2日」で建てられるなら、対応を大幅に迅速化できる。