チェコ・ドゥコヴァニ原発工事、3社が応札

●仏EDF、韓国KHNP、米加系ウエスチングハウスの3社

●原子力開発に賛成するチェコ住民の割合は72%の高さ

チェコ電力最大手で国有のCEZは11月30日、3月に手続きを開始したドゥコヴァニ原発拡張工事入札で、仏電力公社(EDF)、韓国水力原子力発電(KHNP)、米加系ウエスチングハウスの3社から初回入札書類を受理したと発表した。各社と交渉の上、来年9月末までに最終入札書類提出を求める。翌2024年に契約手続きを完了し、29年に着工、36年に運転を開始する計画だ。

新炉の出力は1,200メガワット。20年時点の見積もりによると、建設費は約60億ユーロに上る。入札では安全保障上の理由から中国およびロシアの企業の参加が禁じられた。ハンガリーがロシア原子力公社(ロスアトム)に原発建設を発注したのと対照的だ。

ドゥコヴァニ原発では現在、ロシア型加圧水型原子炉4基(合計出力2,040メガワット)が稼働しているが、30年代後半に運転を終了する見通しだ。これに代わる発電能力として、今回の入札対象である原子炉に加え、ドゥコヴァニ、テメリン両原発で計3基を新設すすることが予定されている。また、小型モジュール炉(SMR)の導入も計画されている。

国際エネルギー機関(IEA)によると、チェコの2001年の電源構成は石炭が40.9%、原子力が36.1%、再生可能エネルギーが14.4%だった。脱炭素化に向け石炭から脱却する手段として、チェコ政府は隣接するドイツやオーストリアと異なり、原子力の比重を大きくしていく方針だ。国民の支持も高く、10月末から11月初めにかけて実施された世論調査で、原子力開発に賛成するチェコ住民の割合72%に達した。1年前に比べて7ポイント増え、1993年以来で最高の数値だ。ロシアのウクライナ侵攻に端を発するエネルギー危機が背景にある。

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