●CBRN兵器による攻撃を想定した物資の備蓄拠点開設は初
●原発事故時の利用も想定、物資は加盟国が共同で利用
欧州委員会は17日、化学、生物、放射性物質、核兵器(CBRN)を用いる攻撃を受けた場合や原子力発電所の事故などに際して欧州連合(EU)が必要となる物資の共同備蓄拠点をフィンランドに設置すると発表した。ロシアのウクライナ侵攻で核攻撃などの脅威が高まる中、2億4,200万ユーロをフィンランド政府に提供して開設し、2024年から運用を開始する。
同拠点の設置は、「rescEU」と名付けられたEUの共同備蓄計画の一環。これまでに新型コロナウイルス感染拡大に対処するため、人工呼吸器やマスク、医薬品などの備蓄を実施してきた。CBRN向け物資の備蓄拠点開設は初となる。
フィンランドの拠点には解毒剤、放射能から甲状腺を保護するヨウ化カリウム剤といった医薬品や放射線測定器、化学物質検出器などの機器を備蓄する。物資は加盟国が共同で利用でき、支援要請から12時間以内に提供できるようにする。
欧州委は「EUではロシアのウクライナ侵攻でCBRNに対する準備の必要性が高まっている」(ヤネス・レナルチッチ危機管理担当委員)として、1,300キロメートルにわたってロシアと国境を接しているフィンランドに備蓄拠点を置くことを決めた。