●ロシアとハンガリーのみ景気後退の予想
●ESEEのEU加盟国成長率は平均1%と、ユーロ圏の0.2%を上回る
ウィーン国際比較経済研究所(WIIW)がこのほど発表した最新の経済予測は、高インフレやエネルギー危機といった事業環境の厳しさのなかで中欧・東欧・南東欧(CESEE)経済の底堅さを示すものとなった。同地域27カ国の国内総生産(GDP)は今年、平均0.1%増となり、マイナスには転落しない見通しだ。国別ではロシア(3%減)とハンガリー(1%減)でのみ、景気が後退する。
WIIWによれば、CESEE諸国はロシアによるウクライナ侵攻に起因する経済ショックをすでに大方、吸収した。インフレ率もピークを越した国がほとんどだ。ロシアが戦闘を拡大させなければ、下半期に景気が加速する。
CESEEの欧州連合(EU)加盟国の成長率は平均で1%の予想だ。ユーロ圏20カ国平均が0.2%であるのを考慮すると、その力強さがわかる。CESEEのEU加盟国の中では、中欧4カ国(V4)よりも南東欧4カ国のほうが成長幅が大きい。
EU非加盟国では、西バルカン6カ国が1.8%、トルコが3%の予測。
ウクライナ経済は昨年のマイナス30%からやや回復し、3%のプラスとなるもようだ。しかし、ロシアが電力施設などの生活基盤を攻撃していることで、経済にもその影響が顕著に出ている。財政赤字は20%に上る見通しで、国外から資金を調達する必要性が高まりそうだ。
ロシアについては、12月5日に発動された欧米らによる原油輸入禁止・輸送サービスにおける価格上限導入が効果を表し、10-12月期(第4四半期)に景気後退のテンポが加速したと分析。今年も戦争への動員や、天然ガス輸出の縮小、制裁による原油輸出価格の大幅低下でGDPがさらに減少するとみている。