●スロベニアのエネ大手HSEが主導し、官民の計34社・機関が参加
●期間は6年、グリーン水素の年産能力5,000トン強の整備を予定
アドリア海北岸地域に水素産業の集積地を構築する「北アドリア水素バレー」プロジェクトが、欧州連合(EU)の研究開発プログラム「ホライズン・ヨーロッパ」から2,500万ユーロの助成金を受ける。2050年の「気候中立」達成を目指すEUの政策に沿うもので、期間は6年。欧州委員会との調整が済み次第、今年下半期にも始動する計画だ。
「北アドリア水素バレー」は、スロベニアとクロアチア、伊フリウリ・ベネチアジュリア県に水素産業の集積地を作り出すプロジェクト。スロベニアのエネルギー企業HSEが主導し、政府系、研究開発・産業パートナー34社・機関が参加する。
水素の生産から貯蔵、供給、消費までの全バリューチェーンを統合する。鉄鋼、セメント、運輸といった重要産業における水素活用を進め、脱炭素化を推進する。再生可能エネルギーを利用したグリーン水素の年産能力5,000トン強の整備を予定する。
昨年の「ホライズン・ヨーロッパ」初回募集では、水素プロジェクト9件が支援対象に選ばれた。助成総額は1億5,400万ユーロに上る。規模の大きい案件としては「北アドリア水素バレー」のほか、バルト海沿岸9カ国が参加する「バルティックシーH2」がある。そのほかの7件は、スタラザゴラ(ブルガリア)、クレタ、コリンティア(共にギリシャ)、ゴールウェイ(アイルランド)、伊ロンバルディア、南マルマラ(トルコ)、ルクセンブルクで実施される。