スロバキアで5日行われた国民議会選挙(定員150)は、欧州連合(EU)懐疑派・反対派が予想を超える躍進をとげ、合計61議席を占めた。一方、昨年9月にEUが多数決で押し切った難民受け入れ枠に賛成する2党は議会入りがならず、国外情勢が選挙結果に大きく影響した格好だ。議会内会派は改選前の6政党から8政党に増え、連立交渉が難航するのは必至。政権運営も難しくなりそうだ。
フィツォ首相率いる左派「スメル(道標)」は第1党の座を維持したものの、得票率は28.3%と2012年の前回選挙に比べて16.1ポイントも低下した。獲得議席数も83議席の単独過半数から49議席に激減する。
EUの難民受け入れ政策に賛成する民主キリスト教連合(SDKU)とキリスト教民主運動(KDH)は議会入りに必要な5%を確保できなかった。同じキリスト教民主派では、「ネットワーク(Siet)」とハンガリー少数派政党の「橋(Most-Hid)」が議席を得たが、キリスト教民主派全体としては改選前の29議席から21議席に減らした。
一方で、EU懐疑派のリベラル政党「自由と連帯(SaS)」は予想の2倍の12.1%を得票して第2党に躍進。10議席増の21議席を獲得した。第3党はスメルの汚職を非難する批判政党「普通の人々と独立した人物(OLaNo-Nova)」で、3議席増の19議席を得た。
急進右派の「国民党(SNS)」は15議席で再び議会入りし、極右政党「我々のスロバキア(LS-NS)」も14議席を確保した。両党はEU脱退を訴えている。わずか1カ月前に結党したEU批判政党「我々は家族(SmeRodina)」も11議席を得た。
EUを批判する会派(SaS、SNS、LS-NS、SmeRodina)をあわせた議席数は61議席で定員の4割を超える。また、他の政党も難民受け入れ問題ではEUと一線を画しており、スロバキア国民が難民対策をめぐるEUの方針に反対の姿勢を明確にした形だ。