河北鋼鉄、セルビア鉄鋼会社を買収

セルビア経済省は5日、同国唯一のスチールメーカーであるスメデレヴォ製鉄所の民営化で、中国の河北鋼鉄(HBIS)を売却先に選んだと発表した。取引額は4,600万ユーロで、さらに3億ユーロを投資する取り決めだ。従業員5,050人は全て継続雇用する。

河北鋼鉄は先月開始された入札手続で唯一、全ての条件をクリアした。スメデレヴォ製鉄所に3億ユーロを投資し、自動車・建設産業向け亜鉛めっき製品の生産設備を充実させる。3〜4年以内に生産量を昨年の87万5,000トンから最大210万トンに引き上げる計画という。

スメデレヴォ製鉄所はベオグラードの東40キロメートルに位置し、約200万トンの年産能力を持つ。14年の輸出額はセルビアの総輸出高(112億ユーロ)の8.9%を占めた。ただ、鉄鋼の世界的な供給過剰を受けて採算は悪化しており、昨年は1億1,300万米ドルの最終赤字を計上した。

政府は2003年、スメデレヴォ製鉄所を2,300万ドルでUSスチールに売却し、民営化を完了していた。しかし、12年にUSスチールが世界景気の悪化を理由に撤退。このため、1ドルで買い戻し、再民営化を試みていた。

セルビア政府は国際通貨基金(IMF)から13億ユーロの融資を受ける条件を満たすため、多数の国有企業の民営化を進めたい意向だ。しかし、14年のヴチッチ首相就任以来の大型民営化は今回のスメデレヴォ製鉄所が初めて。また、他の大型案件であるセルビア・テレコムの民営化も中止しており、思うように売却が進んでいない。

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