ウクライナのヤツェニュク首相が11日、議会に辞表を提出した。ポロシェンコ大統領との対立で政権が運営不能に陥っている事態を打開し、政治の停滞に終止符を打つ狙い。12日には次期首相として大統領の腹心であるヴォロディミル・フロイスマン国民会議議長(36)が選出される見通しだ。
ヤツェニュク首相は、ヤヌコビッチ元大統領を亡命に追い込んだ独立広場(マイダン)での抗議行動を主導したリーダーの一人。政変後に暫定首相を経て首相に就任した。
首相として、エネルギー業界への助成削減や行政手続きの透明化、銀行改革などを実現する一方で、憲法改革、選挙法改正、汚職対策では成果を挙げられなかった。今年2月には連立与党から3党が離脱するなど求心力を失い、その任期は議会会派の多数が後任者で一致できるまでとみられていた。
フロイスマン氏は2006年から14年まで、ポロシェンコ大統領の地盤である中西部ヴィニツァ市の市長を務めた。大統領の率いる与党「ポロシェンコ・ブロック」に属し、法案決議などで党内の意見調整役として手腕を発揮してきた。
ポロシェンコ大統領と利害がつながる「ヴィニツァ・グループ」の後援者ともうわさされるが、フロイスマン氏個人にはこれまで汚職など怪しい情報はない。これが議会多数派の合意につながったもようだ。