格付け大手の米ムーディーズ・インベスターズ・サービスは23日、トルコの長期信用格付けをこれまでの「Baa3」から「投機的」水準とされる「Ba1」へ引き下げた。見通しは「安定的」。景気減速や投資環境の悪化を理由にあげた。トルコ政府は格下げ判断を、「非中立的」と批判している。
ムーディーズは同国の2016〜19年の平均経済成長率が2.7%になるとし、10〜14年の平均5.5%から大幅に低下すると予測する。投資環境は悪く、外国資本の流出懸念が高まっているとみる。また、国際収支が急激に悪化する危険を指摘し、これらのリスクに対応できるだけの力量が政府・公的機関にあるかどうか、疑問符を投げかけている。
さらに、クーデター未遂事件で、トルコ政府が首謀者とみるギュレン師の運動に加担するとされて多くの民間企業が処分を受けた事実に関連し、投資保護の側面からも不安が広がっていると指摘する。
スタンダード&プアーズ(S&P)はすでに7月20日の時点で外貨建て国債を投機的水準の「BBプラス」から「BB」へ、国内通貨建てでも投資適格級の「BBBマイナス」から投機的水準の「BBプラス」へ引き下げている。ムーディーズはクーデター未遂事件直後の7月中旬に、格下げを検討すると予告し、今回の見直しに至った。
3大格付け会社のなかで、トルコの信用格付けを「投資適格級」に位置付けているのはフィッチ・レーティングスのみとなった。