味の素は16日、トルコ食品大手オルジェンの全株式を約74億円で取得することで株主と契約を締結したと発表した。トルコを中東事業拡大の起点ととらえる現行の中期計画に沿い、同国の一般消費者向け事業の地盤強化を図る。来年3月末までに手続きが完了する予定だ。
大手食品グループのイルディス・ホールディングから株式51%、創業者オルジェン一族から49%を取得する。取引対象となるのは、市場への浸透度が高い「ビジムムファク(Biyim Mutfak)」ブランドおよびブイヨン、粉末スープ、メニュー用調味料、粉末デザートの4事業だ。他の事業は買収前にイルディス・グループへ移管するか、閉鎖する。
トルコは堅調な経済成長が続いているほか、人口に占める若年層の比率が高い。都市部で女性の社会進出が広まっていることもあり、味の素では簡便な調味料・加工食品等の需要が今後も高まるとみている。
オルジェンは1987年の創業。先月末現在の従業員数は約400人で、味の素が取得する4事業の2015年売上高は1億200万リラ(約35億円)だった。
味の素は2013年以来、トルコでプレミアムブランドの食品メーカー、キュクレと合弁している。味の素によれば、キュクレが高・中価格帯の液体調味料を手がけるのに対し、オルジェンは幅広い価格帯の粉末・キューブ状調味料を扱っており、補完的関係にあるとみているもようだ。(1TRY=32.99JPY)