チェコで12、13の両日に実施された大統領選挙で、現職のミロシュ・ゼマン候補(73)が38.6%の最多票を得たものの当選要件の過半数に満たず、26、27日に決選投票が行われることになった。26.6%を得票して2位となったイージー・ドラホシュ候補(68)と大統領の座を争う。得票率の差は12ポイントと大きいが、合計で30%を集めた3〜5位候補のいずれもがドラホシュ候補支持を明確にしており、決選投票の行方を占うのは難しい。
今回の選挙の焦点は、ゼマン氏を「大衆迎合的(ポピュリスト)かつ排外主義的、欧州連合(EU)懐疑派で親ロシア・中国」として批判する勢力が、親欧派の人物を大統領にすることができるかどうかにある。親EUを明確にしているドラホシュ候補は化学者で、昨年3月までチェコ科学アカデミーの総裁を務めた経歴の持ち主。カリスマ性はないものの、誠実性が評価されている。所属政党はなく、決選投票で反ゼマン票を集められれば当選の可能性は十分だ。
一方、政党では与党ANOと極右政党の「自由・直接民主主義党(SPD)」、共産党(KSCM)がゼマン候補を支持。市民民主党(ODS)、キリスト教民主同盟・チェコスロバキア人民党(KDU-CSL)、「市長・無所属(STAN)」がドラホシュ候補を支持している。ANOの少数内閣を閣外協力で支える2党がゼマン派、野党がドラホシュ派と、線引きが明確になっている。