ロシアで原子力砕氷船が進水、北極海航路の通年運航目指し

ロシアのサンクトペテルブルクで25日、原子力砕氷船「ウラル」の進水式が行われ
た。北極海航路の通年運航を目指す政策に基づき、「ウラル」は同型船2隻ととも
に世界最高性能の砕氷船団の中核を担うことになる。
「ウラル」は全長173メートル。原子炉2基(合計出力350メガワット)を搭載し、
最大で厚さ3メートルの氷を砕くことができる。姉妹船「アルクティカ」、「シ
ビーリ」の就役後、2022年にロシア原子力公社(ロスアトム)へ引き渡される見通
し。
ロシアは、ムルマンスク港とベーリング海峡を結ぶ「北方航路(NSR)」の船舶貨
物輸送拡大に向けて、インフラ整備を進めている。現在、夏期に限られている運航
を通年可能にする狙いだ。
プーチン大統領は先月、砕氷船の建造を強化し、2035年までに大型砕氷船13隻を就
役させる方針を明らかにした。うち9隻が原子力船となる。
北極海航路は近年、地球温暖化の影響で氷の面積が縮小し、船舶貨物輸送が急増し
ている。加えて、北極海には世界の未発見埋蔵量の22%に相当する4,120億石油換
算バレル(boe)の資源が眠ると推測され、ロシア政府は新型の砕氷船を相次いで
投入することで北極圏の利権獲得競争を有利に進めたい考えだ。

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