黒海を経由してロシアとトルコを結ぶ天然ガスパイプライン「トルコ・ストリー
ム」の開通式が8日、イスタンブールで行われた。ロシアのプーチン大統領は出席
のためトルコを訪問。エルドアン大統領と会談し、シリア・リビア情勢などについ
て意見を交わすとみられている。
トルコ・ストリームは輸送能力1億5,000万立方メートルの導管2本から成り、ロシ
ア産天然ガスをトルコ及び南欧・南東欧に供給する目的で敷設された。ロシアに
とっては、トルコとの天然ガス取引拡大に向けた基盤であるとともに、ウクライナ
経由の輸出を減らすという地政学的な意義がある。
トルコ・ストリームはすでに年初から稼働しており、トルコだけでなくブルガリ
ア、ギリシャ、北マケドニアへのガス供給が始まっている。ブルガリアはトルコ国
境からセルビア及びハンガリーに伸びるパイプライン全区間の整備を年内に終え、
両国への輸送を早期に開始したい考えだ。従来の輸入ルートであった「トランスバ
ルカン・パイプライン」については、輸送方向を逆にし、トルコから供給を受けた
ガスをルーマニアやモルドバへ輸送することを狙っている。
ロシアとウクライナは昨年末に欧州向け天然ガスの輸送契約(期間5年)を締結。
輸送量は今年650億立方メートル、21〜24年は毎年400億立方メートルで合意した。