伊石油プラント大手のサイペムは4日、ポーランド国営送ガス事業者ガスシステム
から、同国とデンマークを結ぶ天然ガスパイプライン「バルチック・パイプ」のオ
フショア区間の敷設工事を受注したと発表した。契約額は2億8,000万ユーロ。年内
に着工し、2022年9月末までに完工する予定だ。
バルチック・パイプはポーランドとデンマークのガス網をバルト海海底パイプライ
ンで結ぶもので、双方向輸送に対応する。完成すると、ノルウェーからポーランド
に年間100億立方メートルのガスを輸送できるようになる。総工費160億ユーロのう
ち2億1,500万ユーロを欧州連合(EU)が助成する。
ポーランドの天然ガス需要は年間およそ170億立方メートルで、その半分をロシア
のガスプロムから調達している。同社との長期契約が22年末に満了するのに合わ
せ、バルチック・パイプが稼働する予定で、国営石油・天然ガス会社PGNiGは昨年
11月ガスプロムに対し、契約更新の意向がないことを伝えた。
バルチック・パイプは、天然ガス調達先を多様化し、ロシアへの依存低減を目指す
政府の方針を実現させるものだ。欧州委員会も同パイプラインを、エネルギー安定
供給の確保とバルト沿岸諸国の市場統合の要(かなめ)と位置付けている。