ロシアで憲法改正の是非を問う国民投票が来月1日に実施されることが決まった。
過半数が賛成票を投じれば、プーチン大統領が最長で2036年まで続投するための法
的基盤が整う。当初4月22日の実施を予定していたが、新型コロナウイルスの流行
で延期していた。
ロシア憲法は大統領任期を連続2期までに制限している。改正案でもこの規定が
残っているが、過去の任期を計算に入れないとすることで、プーチン大統領の再出
馬を合憲化する形だ。改憲が成れば、現任期が満了する2024年から、改めて2期12
年を務めることが法的に可能となる。
投票日決定の根拠について、政府は「全体として感染状況が落ち着き、(最も流行
が激しい)モスクワでも新規感染が激減している」と説明した。それでも、ロシア
の新規感染者数はここ数日9,000人前後で推移しており、反政府活動家のリュボ
フ・ソボル氏などは「時期尚早」と厳しく批判している。
現地経済紙『ヴェドモスチ』が政府及びモスクワ市当局に近い筋の情報として伝え
たところによると、政府は、コロナ危機による景気後退が進むと支持率の低下が避
けられないため、国民投票の早期実施を目指してきた。また、やはりコロナで延期
されたモスクワ戦勝パレードの開催日(6月24日)と間をおかずに実施すること
で、国民意識を鼓舞し、政府支持者の投票意欲を高めようという意図がある。
独立系世論調査機関レヴァダセンターによると、憲法改正に賛成する人は44%、反
対の人は32%。しかし、投票を予定する人に限ると賛成派が55%。また、棄権する
予定の人に限ると反対派が58%とやはり過半数を占める。
ロシア世論調査センターの調べでは、「投票に行くつもり」と答えた人は61%に上
る。実際の投票率はレヴァダセンター、世論調査センターとも66%前後と予測して
いる。