モスクワ市のソビャーニン市長は8日、新型コロナ対策として実施しているロック
ダウン(都市封鎖)措置を今月中に解除する方針を明らかにした。ロシア政府が出
入国を部分的に許可すると予告したのと軌を一にする動きで、「感染状況が少しず
つだが確実に改善しているため」(同市長)と説明している。
モスクワ市は9日から、外出時の許可証取得義務を廃止した。また、理容店、写真
店、美容整形医、獣医、職業あっせん業者、レンタカー業者などの営業再開を全面
的に認めた。
16日からは歯科医、図書館、美術館、博物館、動物園、喫茶店、ビアガーデンなど
が、23日からは幼稚園、遊泳用プール、フィットネスジム、飲食店などが営業でき
るようになる。
国内のコロナ感染の中心地となっているモスクワでは、新規感染者数が減少してい
るとはいえ、1日当たり2,000人前後にも上っている。ソビャーニン市長が先月末に
ロックダウン措置を6月半ばまで延長した際には、7月まで変更がないという見方が
圧倒的だった。
解禁を急いだ背景には、改憲の是非を問う国民投票が7月1日に実施されることがあ
るようだ。6月24日にはモスクワ戦勝記念パレードも開催される。住民の外出制限
を解いてイベントを成功させ、改憲支持票を増やす目論見とみられる。
ロシアの感染者数は9日13時現在48万4,630人、死亡者数は6,133人と、米国、ブラ
ジルに次いで世界で3番目に多い。モスクワでは3月末からロックダウン措置が敷か
れていた。