セルビアで21日行われた議会選挙(定員:250)は、ブチッチ大統領が率いる中道
右派の与党・進歩党(SNS)が6割を超える得票率で大勝した。野党・セルビア連合
(Savez za Srbiju)が呼び掛けたボイコットにより、投票率が伸びなかったこと
がSNSの得票率を押し上げた。同党は今後もロシア、中国との友好関係を保ちなが
ら欧州連合(EU)加盟を目指す政策を継続するとみられる。
調査会社イプソスと現地非政府組織(NGO)CeSIDの推定によると、SNSの得票率は
62.6%となり、2016年の前回選挙から14ポイント以上増加した。議席数は改選前の
131から189へ躍進する。SPSと連立を組んでいた社会党(SPS)・統一セルビア
(JS)連合は10.9%とほぼ増減なしだが、議席数は29から31へ増える。
ほかに議会入りの条件となる得票率3%を超えたのは、水球の元セルビア代表選手
だったシャピッチ氏率いる新党「セルビアの勝利(Pobeda za Srbiju)」の4.2%
のみとなった。同党は12議席を獲得する。少数民族枠ではヴォイヴォディナ・ハン
ガリー同盟など4党に17議席が配分される。投票率は前回選挙に比べ8.7ポイント減
の48%にとどまった。
SNSは2012年以来、同国政治の舵取りをする。ブチッチ大統領は14年に首相に就任
し、17年には大統領選に勝利した。この間、メディア支配や政敵に対する意図的な
中傷、また、国民生活を管理下に置くことで野党勢力の弱体化に成功した。
強権的な手法が強く批判されている一方で、ロシア、中国に接近しつつEU加盟を目
指す政策を支持する国民も多い。直近では、新型コロナウイルス対策が有権者に高
く評価され、支持率が上昇していた。
今回の選挙は新型コロナの流行が始まって以来、欧州で実施された初の議会選挙と
なった。当初は4月26日に予定されていたが、感染拡大を受けて延期されていた。