ノルウェー法務省は9日、英ロールスロイスがロシアの鉄道車両最大手トランスマ
シュ・ホールディング(TMH)に船舶エンジンメーカー、ベルゲン・エンジンを売
却する取引を一時差し止めると発表した。安全保障上の懸念があるためで、審査完
了まで売却を禁止する。
ベルゲン・エンジンはロールスロイス・グループの独子会社ロールスロイス・パ
ワーシステム(RRRS)を親会社とし、ノルウェー海軍を主要顧客の一つとする。船
舶エンジン保守を請け負っており、ロシア軍用船を監視する「マリヤナ」号もその
範囲内にある。従業員数は950人で、2019年売上高は2億8,000万ユーロ弱に上っ
た。RRSは先月初め、同社を約1億5,000万ユーロでTMHへ売却すると発表していた。
TMHはロシアの機械製造大手。世界25カ国に拠点を展開し、約10万人を雇用する。
ロシアのメディア報道によると、TMHには仏アルストムが20%を出資する。残る
80%はロシア人実業家が保有し、政府が直接出資している事実は確認できない。し
かし、ロシア国鉄がTMHの主要顧客であることから、ノルウェー政府はロシア政府
がTMHに大きな影響力を及ぼしかねないと懸念しているもようだ。