チェコ中央銀行は23日、主要政策金利である14日物レポ金利を0.25ポイント引き上
げ、0.5％に設定した。利上げは昨年2月以来16カ月ぶり。新型コロナ禍からの景気
回復を背景に賃金が上昇し、インフレ率が高い水準で推移していることから、利上
げを通じて物価上昇圧力を抑制する狙いだ。ロンバート金利（上限金利）も0.25ポ
イント引き上げ、1.25％に設定した。公定歩合（下限金利）は0.05％で据え置い
た。
同国の5月のインフレ率は2.9％となり4月の3.1％から低下したものの、目標レンジ
（1〜3％）の上限前後にとどまっている。中銀は今後について、年内は3％前後で
推移し、来年から目標レンジの中央値（2％）に近づくとの見方を示した。
国内総生産（GDP）は1-3月期（第1四半期）にマイナス2.1％となり、5四半期連続
のマイナス成長となったが、下げ幅は前期（4.8％）から2.7ポイント縮小した。足
元の4-6月期（第2四半期）はプラスの傾向を示しており、中銀は年内に成長軌道に
戻ると予想している。
中銀は声明で、新型コロナの封じ込めに伴う国内経済の回復と賃金の予想以上の上
昇がインフレ期待を高めていると指摘。今回の決定により、金融政策は「ゆるやか
な引き締め」に転じたとした上で、今年下半期に追加利上げを行う可能性を示唆し
た。
欧州連合（EU）加盟国の中央銀行で新型コロナのパンデミック後に利上げを実施す
るのは前日のハンガリーに次いでチェコが2カ国め。中欧2カ国の相次ぐ利上げを受
け、市場ではポーランドにも利上げドミノが波及するとの見方が出ている。