ガスプロム、ブルー水素の対欧州輸出を計画

ロシア国営ガスプロムが、天然ガスの代替燃料として中長期的に「ブルー水素」を
欧州に輸出する計画を策定している。温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロ
(ゼロエミッション)へ減らす欧州連合(EU)の政策を受けたもので、政府のエネ
ルギー戦略とも合致する。天然ガス販売の減少をブルー水素輸出で補う狙いだ。4
日付の『ロシア・トゥデイ』が報じた。
ブルー水素は、水素生産の過程で排出される二酸化炭素(CO2)を回収・地中貯留
(CCS)し、排出量を実質ゼロにするもの。ガスプロムで輸出事業を担当するガス
プロム・エクスポルトのセルゲイ・コムレフ社長によると、現時点でも1キロ当た
り約2米ドルで生産可能とみられている。
ロシア政府のゼロエミッション水素戦略では、2023年から既存の天然ガス生産プラ
ントでCCS設備を併設した水素生産施設を稼働させる予定だ。その後、原子力と再
生可能エネルギーを電源とした水電解施設の運用試験を実施することになってい
る。
ロシアは昨年、水素生産全般を対象としたロードマップを導入した。これにはブ
ルー水素のほか、◇CO2が大気中に排出されるグレー水素◇メタンを熱分解する
ターコイズ水素◇再生可能エネルギーを使った水電解で生産されるグリーン水素—
—がすべて含まれる。今年4月には、2030年までの目標として、世界水素市場シェ
ア20%の獲得が発表された。30年以降も輸出を伸ばし、50年までに量ベースで年3,
340万トン、輸出額で1,002億ドルを達成する。

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