ロシア、電気乗用車の道路使用料免除を計画

ロシア政府は来年から、電気乗用車による有料道路の利用を無料にする方針だ。こ
のほど発表された閣議決定で明らかになったもので、政府が進める電動車普及策の
一環となる。ただ、有料道路の割合は全体の0.02%に過ぎず、全国的な普及を後押
しするには力不足の感がある。
ロシアにある道路の全長は155万3,700キロメートル。このうち国の管理する高速道
路は5万キロだが、有料なのはわずか1,950キロにとどまる。
ロシア政府の予測によると、電池電動車(BEV)や燃料電池車(FCV)など電動車の
年間販売台数は2024年に2万5,000台に達する。30年には全販売台数に占めるEVの割
合が現行の0.05%から10%へ拡大する。
政府は普及策の一つとして、24年までに充電ステーションを9,000カ所へ、20年代
末には7万2,000カ所へ増やす。また、水素ステーションも30年までに1,000カ所で
整備する。これにより、3万9,000人の雇用が生まれると見込む。
経済紙『ヴェドモスチ』の6月報道では、BEVおよびFCVの普及に向けた政府投資と
して、30年までに105億米ドルが計画されている。これまでのところ、これらの資
金は公共交通に投入されている。路線バスに占める電動車の割合は全国平均でみれ
ば0.6%にしかならないが、モスクワに限ると5.5%に上昇し、欧州連合(EU)平均
の6.1%に迫りつつある。
一方で、政府が気候変動対策にどう取り組んでいくのか、その具体的な道筋はまだ
明らかになっていない。次回の気候変動枠組条約締約国会議(COP)が2カ月後に迫
るなか、包括的な政府戦略の公表が待たれている。