チェコ中央銀行(CNB)は9月30日、主要政策金利である14日物レポ金利を0.75ポイ
ント引き上げ、1.5%に設定した。利上げは3会合連続。市場は0.5ポイントの上げ
幅を予想していた。物価の上昇が見込まれる中、先手を打つ形で大幅な追加利上げ
に踏み切った。ロンバート金利(上限金利)も0.75ポイント引き上げ、2.5%に設
定した。公定歩合(下限金利)は0.45ポイント増の0.5%に引き上げた。
同国の8月のインフレ率は前月から0.7ポイント増の4.1%に拡大し、2カ月連続で目
標水準(1〜3%)の上限を上回った。食品価格の高騰と燃料価格の上昇に加え、観
光再開に伴うサービス部門の価格上昇が影響している。中銀は今後について、家庭
用光熱費の値上がりにより冬までは急激な上昇がみられるものの、引き締め策の継
続により来年から目標水準の中央値(2%)に近づくとみている。
同国経済は4-6月期に国内総生産(GDP)が前年同期比8.2%増と急伸し、6四半期ぶ
りにプラス成長へと転じた。今後の成長率見通しについては、今年は3.5%、来年
はそれをわずかに下回る水準を見込んでいる。
中銀は声明で、賃金の急速な伸びと、それに伴う消費支出の大幅な増加がインフレ
期待を高めていると指摘。「目標値を上回るようなインフレ期待の膨らみは容認し
ない」とし、予想外の大幅な利上げを決めたと説明した。
今後については「引き締めのペースはインフレの動向と経済見通し次第だ」とし、
インフレ率のさらなる上昇がみられる場合に追加利上げを行う可能性を示唆した。
■政府は中銀の政策を批判
今回の利上げは、今月8日と9日に行われる下院選挙の1週間前という微妙なタイミ
ングで実施された。与党ANOのバビシュ首相は、中銀の決定はチェコ経済に損害を
与えるものだと批判。アレナ・シレロヴァ財務相も「インフレの原因は供給量並び
に労働力の不足であり、利上げは解決にならない」と述べるなど、神経をとがらせ
ている。これに対し中銀のルスノク総裁は「CNBは独立した機関であり、政府の指
示は受けない」と述べるとともに、景気の過熱を抑えるためにさらなる利上げが必
要だとの認識を示した。