スイスの大手資源商社ヴィトルが8年ぶりに、ロシア国営ロスネフチと石油の長期
調達契約を結んだもようだ。今年6月には、ロスネフチの北極圏油田開発プロジェ
クト「ボストーク・オイル」の権益をヴィトル率いる企業連合が取得することで合
意が成立しており、両社が関係強化を進めている様子がうかがわれる。
ロイター通信が5日、消息筋4人の情報として報じたところによると、ヴィトルは先
月、ロスネフチと長期契約を交わした。ウラルおよび東シベリア・太平洋(ESPO)
ブレンド、ソーコル原油を年900万トン(日量18万バレル)を調達する内容で、す
でに供給が始まっているという。それまで、長期契約を結んだのは2013年の5年契
約が最後だった。ロイター通信の取材に対し、両社はコメントを拒否している。
ヴィトルはこの秋、シンガポールの同業マーカンタイル・アンド・マリタイム
(Marcantile & Maritime)と組み、ロスネフチのボストーク・オイル事業の権益
5%を取得する予定となっている。取引規模は明らかにされていないが、やはりス
イスの資源商社であるトラフィグラが今年、ボストーク・オイルの権益10%を取得
した際の買収価格は70億ユーロに上った。
ボストーク・オイルは、ロシア史上最大級の石油開発プロジェクトで、その規模は
1970年代の西シベリア開発に匹敵すると言われる。