ポーランドEC大手アレグロ、チェコのEC・物流企業を買収

ポーランドの電子商取引(EC)大手アレグロが、ロックアウェイ・キャピタル・イ
ンベストメント、PPF、ECインベストメンツの中欧投資3社から、チェコの同業モー
ル・グループ及び物流企業ウィードゥを8億8,100万ユーロ(10億2,000万米ドル)
で買収する。中欧にまたがるECプラットフォームを構築する狙い。取引額は短期目
標の達成具合に応じ、最大で5,000万ユーロ上乗せされる。手続きは来年後半に完
了する予定だ。
アレグロのフランソワ・ヌウィー社長は今回の買収の意義について、「顧客はより
多くの商品のなかから、欲しいものをより安く、より簡単に購入できるようにな
る。販売店は一度登録すればチェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア、クロ
アチア、ポーランドの6カ国で販売できるようになる」と話す。ターゲットとする
国々の小売市場規模は1兆1,400億ズロチ(2億8,500万ドル)、人口は7,000万人
と、これまでの2倍に拡大。契約販売店も13万5,000軒へ増加する。プラットフォー
ムの強化により、新システムを導入する場合でも、早く採算が取れると見込む。
また、ウィードゥの取得で、小包受取窓口・ロッカー数は一気に1,100カ所増加す
る。アレグロが来年末までに3,000カ所へ増やす計画に取り組んでいることから
も、買収の効果が見て取れる。
米エクステラス・キャピタルのイヴァン・キム取締役は、「モール・グループは成
長力を秘めた未統合の市場で業務を展開しており、伸びしろが大きい。それを考え
れば、買収額は高いとは言えない」と評価。米ジェフリーズのアナリスト、セバス
チャン・パトゥレア氏も、「アレグロは国際取引およびラストマイル配送が弱点
だった。ウィードゥの買収でこの能力が大きく強化できる」と分析している。
アレグロは20年以上前から米イーベイに似たECプラットフォームを運営する。国内
EC市場シェアは33%、雇用数は3,750人、月間訪問者数は2,000万人強に上る。昨年
10月、ワルシャワ証券取引所(WSE)での新規株式公開(IPO)で23億ドル(企業価
値:176億ドル)を調達し、ポーランド史上最高額を記録した。
中欧ではEC市場における競争が激化している。米アマゾンは先月、ポーランドでプ
ライムサービスの提供を開始、シンガポールのシー・グループも9月に同国サイト
を開設した。(1PLN=28.55JPY)

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