独ダイムラー傘下のメルセデス・ベンツが、モスクワ州の工場を売却するもよう
だ。現地経済紙『コメルサント』によると、入札手続きが進行中で、自動車販売会
社のアフトドームの落札が有力視されている。ただ、売却に当たってはロシア市場
におけるメルセデス・ベンツ・ブランド車の販売権など、複雑な問題を整理する必
要があるため、状況が変化する可能性もある。
取引の対象となっているのは、モスクワ市から北西へ約40キロメートルの距離にあ
るエシポヴォ工場だ。メルセデス・ベンツが80%、ダイムラーとカマズの合弁会社
ダイムラー・カマズ・ルースが20%を出資する。2019年に開所し、ロシア市場向け
に乗用車を出荷してきた。
『コメルサント』誌が自動車販売業界筋の話として伝えたところによると、エシポ
ヴォ工場の入札に、ディーラー数社が応札した。アフトドームもそのうちの1社
で、落札の有力候補と目されているという。売却手続きには、モスクワ州開発公社
も加わっている。
『コメルサント』紙の取材に対し、アフトドームは回答を拒否した。メルセデス・
ベンツのロシア現地事務所は「ロシア事業について、さまざまな選択肢を検討中」
とするだけで、具体的な回答は避けた。モスクワ州投資産業科学省は、エシポヴォ
工場の将来に関してメルセデス・ベンツと話し合っていることを認めたが、詳細は
明かさなかった。