ブルガリア議会は7月21日、ロシア石油大手ルクオイルが持つ黒海沿岸ブルガス港
のロセネツ石油ターミナル運営事業免許を取り消すことを決定した。ウクライナ戦
争継続を受けて、自国におけるロシア企業の経済活動をさらに制限する狙い。加盟
国間の人の移動を容易にするシェンゲン協定への早期加盟を後押しする効果も期待
されている。
免許取り消しに向けた法案は、連立政党の「ヨーロッパ発展のためのブルガリア市
民=民主勢力同盟(GERB-SDS)」、「変化の継続=民主主義的ブルガリア
(PP-DB)」と、トルコ少数民族政党の「権利と自由のための運動(DPS)」が提
出。これらの党の賛成多数で採択された。提案理由としては、「ロシアの戦費調達
に同石油ターミナルが悪用されるのを防ぐ」ことが挙げられた。
法案にはブルガリア社会党(BSP)と極右政党の「再生」が反対したほか、親ロシ
ア派として知られるルメン・ラデフ大統領も強く批判した。
ロセネツ石油ターミナルの期間35年の運営免許は、ボリス・ボリソフ第1次内閣が
2011年、ルクオイルのブルガリア子会社ネフトキム・ブルガスに付与した。ネフト
キムは同国唯一の製油所で、日量19万6,000バレルの精製能力がある。
ブルガリア議会は今年1月、ネフトキムの経営を最長1年、政府の管理下に置く法案
を可決している。