ロシア中央銀行は15日の緊急理事会で、主要政策金利の7日物入札レポ金利を3.5ポ
イント引き上げ、12%に設定した。利上げは2会合連続。年初からの通貨ルーブル
安が加速して物価上昇を招いており、通貨防衛とインフレ抑制のため緊急利上げに
踏み切った。
同国のインフレ率は7月に4.3%となり、前月から1ポイント拡大した。インフレ率
の上昇は3カ月連続。中銀の推定では8月7日時点で4.4%まで上がっている。食料品
価格の高騰に加えルーブル安に伴う輸入品価格の上昇が大きい。
中銀は声明で、生産能力を上回る内需の持続的な伸びがインフレ圧力を強めている
ほか、輸入需要の増大を受けてルーブル安が進み、コストが価格に転嫁されること
でインフレ期待も高まっていると指摘。現在の物価上昇のペースでは、2024年にイ
ンフレ率が目標値の4%を上回るリスクが大きいとの認識を示した。
ルーブルは14日に1ドル=102ルーブルとなり、ウクライナ侵攻直後の昨年3月(1ド
ル=136ルーブル)以来の安値を付けた。中銀の利上げを受けて1ドル=98ルーブルま
で回復したものの、依然として昨年の水準を下回っている。
キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、リアム・ピーチ氏は、今回の利上げは
一時的な効果しかないとコメント。「ロシアは欧米の制裁の影響で外国資本を呼び
込むのに苦労している」と述べ、資本流入に伴うルーブル高は期待できないとの見
方を示した。