欧州ビール大手のハイネケン(オランダ)は8月25日、ロシア事業を現地のアーネ
ストグループに1ユーロで売却する手続きが完了したと発表した。ハイネケンはロ
シアのウクライナ侵攻を受け、昨年3月から同国事業を停止していた。今回の取引
によりロシアから完全撤退する。
ロシア国内に持つ7つの醸造所すべてを譲渡する。契約には事業を買い戻せるオプ
ション権が含まれない。売却により3億ユーロの損失を見込む。
アーネストグループは日用消費財(FMCG)および缶パッケージのロシア最大手。ハ
イネケンの従業員1,800人については今後3年間の雇用を保証する。
欧米のビール大手ではデンマークのカールスバーグが6月末にロシア事業の売却で
合意したと発表したものの、ロシア政府は7月に大統領令を通じて同社のロシア子
会社を国家の管理下に置いた。
ハイネケンのドルフ・ファン・デン・ブリンク最高経営責任者(CEO)兼会長は
「最近の動向は大手メーカーがロシアから撤退する際に直面する重大な問題を示し
ている」とコメント。売却プロセスは「非常に複雑」だったとしたうえで、「当初
の予定よりも時間がかかったが、手続きが済み、ロシアから出られることを嬉しく
思う」と述べた。