低温プラズマ支援燃焼技術のエストニア新興企業、450万ユーロ調達

ボイラーの燃焼効率向上に役立つ低温プラズマ支援燃焼技術を手がけるエストニア
のエフェンコ(Efenco)はこのほど、投資家連合や欧州連合(EU)から450万ユー
ロを調達した。自社技術のさらなる開発に資金を投じる。来年から、まずは事業者
向けに販売を開始し、最終的には一般世帯にもターゲットを広げる目標だ。
エフェンコの独自技術「ハイエナジー・レイ・セラミックチップ(HERC)」は、天
然ガスの燃焼効率を最大40%、水素では最大75%向上させられるという。ジェット
エンジンなどに搭載されている従来の技術と異なり、独自のエネルギー源を必要と
しないのが特長だ。ボイラー燃焼で得られる熱を利用してプラズマを発生させる。
発電や製鉄、製パルプ、製紙、セラミック、セメントといったエネルギー集約型産
業や、地域熱供給分野での需要が見込まれる。
欧州を中心に「ゼロカーボン」に向けた取り組みが進んでいるが、一方で、世界の
エネルギー生産の80%を化石燃料に頼っているのが現状だ。エフェンコはこれを踏
まえ、大きな設備投資なしで導入できるHERCが、二酸化炭素(CO2)排出削減に即
結びつく、つなぎの技術として有効とみる。
同社によると、HERCは、欧州で高温処理工程の熱源として使われているガスボイ
ラーの30%に装着でき、CO2排出量を最低でも18%以上減らせる。これらのボイ
ラーの全てで燃焼効率が18%向上すれば、欧州が天然ガス燃焼で排出するCO2の5%
を減らせる計算だ。これは、ソーラー・風力発電を合わせた削減幅、あるいは原子
力発電による削減幅を上回るという。
今回の資金調達では、イヴォ・レメルグ氏率いるEstBANシンディケートが130万
ユーロを出資した。また、欧州イノベーション会議(EIC)とエストニアのアルキ
メデス財団が助成金として320万ユーロを支給した。

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