ロシア国営のVK、アプリ開発企業を買収

ロシア国営ネット大手VK(旧メール・ル)がアプリ開発のムノゴ・プリロジェニィ
(Mnogo Prilozheniy)の株式70%を買収した。デジタル製品開発事業の強化が狙
い。取引価格は明らかにされていない。『ベドモスチ』紙によると、ムノゴはモバ
イルアプリのル・ストアのプロジェクトなどに携わっている。
業界筋によると、ロシアではIT人材不足が深刻化しており、今回の買収は業務に即
対応できるチームを獲得する試みと考えられる。ムノゴ株30%はデジタルビジネス
ソリューション開発のレッド・マッド・ロボットが保有する。
VKはロシア軍のウクライナ全面侵攻後、国内デジタル・ソーシャルメディア市場に
おける支配的地位獲得に照準を当てている。すすでにゲーミング事業を手放したほ
か、フードテック事業を競合ヤンデックスのメディア事業と交換した。
しかし、この再編は同社の財務に大きな影を落としている。キャッシュフロー収支
は2021年の45億ルーブル(4,500万ユーロ)の黒字から22年に120億ルーブル(1億
2,000万ユーロ)の赤字に転落した。設備投資が60%増の200億ルーブルに拡大した
ことが原因だ。22年末現在の純負債額は850億ルーブルと前年末の4倍(EBITDA[利
払い・償却前利益]の4.2倍)に膨らんだ。ネットキャッシュ(手持ち資金)は490
億ルーブルだった。
VKが発表した22年第4四半期売上高は320億ルーブル(3億2,000万ユーロ)と前年同
期比で19.5%拡大したが、EBITDAは48億ルーブルへと30%落ち込んだ。EBITDAマー
ジン(EBITDAの対売上高比率)は15%だった。(1RUB=0.01EUR)

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