「サハリン2」のシェル出資分、露ガスプロムが取得

ロシア政府は23日、三井物産と三菱商事が権益を持つ極東の石油・天然ガス開発事
業「サハリン2」について、英石油大手シェルが所有していた株式27.5%を国営ガ
スプロムが取得することを承認した。取引額は948億ルーブル(約10億2,000万ド
ル)。これによりガスプロムの出資比率は77.5%まで拡大する。
サハリン2の運営会社「サハリンエナジーLLC」から、ガスプロムの完全子会社「サ
ハリン・プロジェクト」にシェルの所有株を移す。シェルはウクライナ戦争開始直
後の2022年2月末にサハリン2からの撤退を発表したものの、権益の売却先は決まっ
ていなかった。
当初はロシア天然ガス大手のノバテクがシェルの出資分を取得する予定だったが、
政府は同日付でノバテクへの株式売却に関する命令の無効を発令した。専門家から
は、ノバテク側で法的リスクが高すぎると判断したとの見方が示されている。
サハリン2を巡ってはプーチン大統領が22年6月末、当時の事業主体であるサハリン
エナジーから新設したサハリンエナジーLLCに事業を移すとともに、保有するすべ
ての資産の無償譲渡を命じる大統領令に署名した。新会社には三井物産が12.5%、
三菱商事が10%を出資している。

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