ロシアは中国の協力を受けて、極東の太平洋岸に液化石油ガス(LPG)ターミナル
を開設するもようだ。業界筋の情報としてロイター通信が22日に伝えたもので、ロ
シア太平洋岸で初めてのLPGターミナルとなる。2025年末までの開設を目指してい
る。総投資額は約300億ルーブル(約3億600万ユーロ)と見積もられている。
同ターミナルの処理能力は年100万トン。ロシアの民間企業レムスタル(Remstal)
が約5年前に建設を開始したものの、資金不足により工事が中断されていた。ロシ
ア直接投資基金(RDIF)は今月半ば、中国の石油化学企業・海威石化と同ターミナ
ルへの融資契約を結んだ。
ロシア産LPGはウクライナへの軍事侵攻を受けて欧米の制裁対象になっている。ロ
シアはエネルギー資源の輸出先を欧州からアジアに転換しており、新ターミナルの
開設はその一環となる。同ターミナルからは中国東部や南部のほか、ベトナム、韓
国、インドネシアなどにもLPGを供給できる。
ロシアの中国へのLPG輸出は着実に増加している。2022年に鉄道経由で輸出したLPG
の総量349万6,000トンのうち、同国向けは4.3%に当たる15万トンだった。同割合
は23年に5.6%(20万2,000トン)へと拡大。24年1-4月期には8.9%(10万6,000ト
ン)に達した。
中国は世界最大のLPG消費・輸入国。3月の輸入量は前月比約46%増の308万トンと
大幅に拡大した。最大の供給元国は米国で、全体の52%に当たる160万トンを占め
た。ロシアからの輸入を増やせば米国依存を低減できる。