フィンランドのタイヤ大手ノキアンタイヤは19日、ルーマニア北西部のオラデアで
乗用車タイヤ工場の落成式を行った。欧州で新たな生産能力を整備する計画の一
環。年産能力は600万本で、将来の拡大を視野に入れる。すでに稼働を開始してお
り、来年初頭から量産体制に移る。総投資額約6億5,000万ユーロのうち1億ユーロ
を政府の助成で賄う。
新工場はハンガリーとの国境に近く、他地域へのアクセスに優れる。敷地面積は54
ヘクタールで、倉庫・物流センターも含めた建物面積は10万平方メートル。リム径
の大きい乗用車・SUV用タイヤを生産し、主に中欧市場に出荷する。雇用規模は約
500人。ノキアンタイヤによると、同工場はタイヤ工場として世界初の二酸化炭素
(CO2)排出量ゼロを実現している。
ノキアンタイヤは2022年6月、乗用車タイヤ生産の約8割を占めていたロシアからの
撤退を決断。失われた生産能力を補うためルーマニア工場の設置を決めた。立地決
定について同社は◇技能のある人材の存在◇物流面からみた地の利◇安定した事業
環境——などを理由に挙げている。