ロシアのニッケル大手ノリリスク、ニッケル系カソード活物質を開発

非鉄金属大手の露ノリリスク・ニッケルがバッテリー材料生産に乗り出す。サンク
トペテルブルクで23日開所した研究開発(R&D)センターで、電動車用バッテリー
用のニッケル系カソード活物質の開発に取り組む。
ニッケル安や物流の困難、国際決済問題が響き、ノリリスクの上半期利益は22%減
を記録した。ヴィタリ・ブスコ副会長(イノベーション担当)はR&Dセンターの開
設が自社の事業基盤の強化だけでなく、「運輸部門の電動化に向け、バッテリー生
産の全工程を確実なものとする」という政府の目的にもかなうと話した。
ブスコ副会長は国内メディアの取材に対し、カソード活物質工場を設けるかどうか
の判断を1年以内に下すと話した。また、適した立地を探していることも明らかに
した。
ウラジーミル・ポターニン最高経営責任者(CEO)は今年4月、電動車用バッテリー
業界におけるニッケルのサプライチェーンを構築する計画であると話し、中国の
バッテリーメーカーと合弁会社を設立する意向を示した。合弁パートナーとしては
ロシア原子力公社(ロスアトム)の名もあげた。
ノリリスクは、世界の電動車用バッテリー生産業界と結びつくことで、欧米らによ
る対ロシア制裁が自社の事業に与える影響を弱められるとみている。7月には関係
筋が複数の中国バッテリーメーカーと交渉していると伝えられた。
電動車用バッテリーはリチウムイオンがグラファイト系カソード及びアノードの間
を行き来することで蓄放電が起こる。ニッケル系カソードを用いるとエネルギー密
度が高まるため、航続距離を伸ばせる。

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