ポーランド最大の発電会社で国有のPGEがこのほど、北部の西ポモージェ県で新し
い天然ガス・コンバインドサイクル発電所「グリフィノ・ドルナ・オドラ発電所」
を開所した。エネルギー転換政策の一環で、総容量は1.4ギガワット(GW)。国内
電力需要の約5%をまかなえるという。投資額は37億ズロチ(8億5,600万ユーロ)
に上った。
新発電所では、米GEベルノバ製の設備を採用した。PGEによると、その発電効率
(名目)は63%と、旧型の石炭火力発電設備の1.7倍以上。最も厳しい排出基準を
クリアしており、ばい煙・硫黄酸化物の排出はほぼゼロ、キロワット時(kWh)当
たりの二酸化炭素(CO2)排出量は330グラムと、石炭火力発電のほぼ3分の1に低下
する。ロベルト・クロピヴニツキ副国家資産相は、再生可能エネルギーを補完する
容量として新発電所を位置付けている。
ポーランドは2023年の電源構成で未だに石炭が61%を占め、その依存度は欧州諸国
のなかでも突出している。政府は再生可能エネルギーの利用を促進するとともに、
ベース容量として原子力発電所を設置する計画だが、その稼働は2035年以降だ。こ
のため、天然ガスの担う役割は大きく、ポーランド経済研究所は天然ガスが30年ま
でに電源構成の15〜31%を占めるようになると予測している(23年実績:
8.5%)。
なお、PGEは昨年、従来計画より10年早い2040年に気候中立を達成する目標を公表
した。しかし、石炭産業界からの圧力で、1週間もしないうちにこれを撤回した。