トルコが産業脱炭素化投資プラットフォーム(TIDIP)を立ち上げた。欧州復興開
発銀行(EBRD)の主導で実現したもので、トルコの「ネットゼロ(炭素中立)」目
標達成に貢献する狙い。
TIDIPは2030年までに50億米ドルの投資を実現し、二酸化炭素(CO2)排出量を年間
2,000万トン抑制する計画だ。現存する産業脱炭素化プログラムとして世界最大の
規模となる。必要資金の大きさから、EBRDは世界銀行グループおよび国際金融公社
(IFC)と協力してTIDIPの支援に当たる。
TIDIPは低炭素パスウェイ(LCP)のコンセプトに基づく。トルコのLCPはEBRDと産
業技術省により共同で策定され、EBRDのサポートを受けて実行に移される。当初は
鉄鋼、アルミニウム、セメント、肥料業界の脱炭素化に取り組む。各業界のLCPが
完成するのを待って、ガラス、セラミック、化学業界にも対象を広げる。具体的に
は、重要技術、資金調達、政策に関するロードマップを策定し、持続的な低炭素化
の実現を目指す。
LCPは利害関係者のニーズを大幅に取り入れる形で作成され、公的・民間セクター
による効果の高い投資パイプラインを支援する役割を負う。このようなアプローチ
をとることで、より広い経済的視点に立ち、多様で統合的な解決策をまとめること
ができる。また、グリーン投資に向けた協働で、政治家からプロジェクトデベロッ
パー、金融機関に至る利害関係者間のコンセンサスが得られるようになる。
トルコは輸出の半分が欧州連合(EU)向けだ。EUは26年から気候変動対策が不十分
な国からの輸入品に事実上の関税をかける「炭素国境調整メカニズム(CBAM)」を
本格導入することを決めており、トルコ企業がコストの上昇に直面するのは必至の
情勢。競争力強化のためには、炭素排出の多い産業の脱炭素化を進めることが避け
られない。