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2010/6/16

経済産業情報

3輪EVメーカーのスマイルズ、大幅増収を見込む

この記事の要約

3輪電気自動車(EV)を製造するスマイルズ(Smiles、ヴュルツブルク近郊アウプ)が大幅増収を見込んでいる。ドイツ政府がEVの普及台数を2020年までに100万台とする目標を掲げていることが背景にある。10日付『フラン […]

3輪電気自動車(EV)を製造するスマイルズ(Smiles、ヴュルツブルク近郊アウプ)が大幅増収を見込んでいる。ドイツ政府がEVの普及台数を2020年までに100万台とする目標を掲げていることが背景にある。10日付『フランクフルターアルゲマイネ』紙が報じた。

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スマイルズのネストマイアー社長によると、同社はこれまでに3輪EV「City EL」を約6,000台販売。2009年の売上高は約200万ユーロだった。生産台数は昨年が約350台。今年はこれを600~800万台、2011年には800~1,000台に引き上げる計画で、売上高も今年600~800万ユーロ、2011年は1,400万~1,600万ユーロを見込む。開発コストや先行投資が必要なため採算はまだとれていないものの、中期的には黒字化できるという。

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スマイルズは1995年、デンマークの小型車メーカーCityCom RandersとEVメーカーNestmeier Solartechnikが合併して誕生した。99年に企業形態を有限会社から株式会社に変更。2009年に現在の社名となった。従業員はわずか22人だが、量産EV車というニッチ市場でシェア50%を握っている。

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リチウム電池を搭載するCity ELの燃費は走行100キロメートル当たり平均わずか1ユーロ。1回の充電当たり60~120キロ、ライフサイクル全体で7万キロを走行できる。最高時速は45~63キロ。充電時間は70%で3時間以上かかるものの、自宅のコンセントを利用できる。

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利用者の75%が通勤者だが、電力会社や企業が宣伝目的で使用する機会も増えている。移動距離の少ない高齢者にも人気だ。最も売れているモデルの最高時速は57キロメートル。電池は48ボルトで、販売価格は1万2,000万ユーロを切る。

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スマイルズは自社生産のほか、インド、イタリアのEVメーカーから「Reva」「Tazzari Zero」を輸入している。昨年はサービス部門「Smiles World」を新設し、エコ電力や充電技術、ローンやリースなどEVに関する各種サービスの提供も開始した。

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