ドルトムント工科大学のオリバー・カイザー教授を中心とする研究チームが、大麻の成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)のバイオ合成技術の開発に初めて成功した。THC産生に関与する遺伝子を単離・同定してバクテリアに組み込んだもので、チームは医療用麻薬の需給緩和に期待を寄せている。
\ドイツでは麻薬法(Betaeubungsmittelgesetz:BtMG)によって、大麻からTHCを抽出すること、およびその流通・処方が禁止されている。また、麻の繊維からTHCを抽出することは認められているが、含まれるTHCは0.2%と低いため、成分を取り出すのに手間がかかる。さらに、THCの化学合成は可能なものの、装置が極めて複雑で高価なため生産コストが膨れ上がるという問題があった。ドルトムント工大のチームはこうした事情を踏まえ、遺伝子組み換え技術によるバイオ合成の可能性を模索。試行錯誤の末、純粋なTHCを産生するバクテリアの開発に成功した。
\連邦政府は8月、大麻から抽出したTHCを末期患者への処方薬として認める方針を示しており、これをきっかけにTHCの需要が拡大する可能性がある。
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