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2010/9/8

総合 - ドイツ経済ニュース

原発稼働延長で与党合意、新型炉で14年

この記事の要約

独政府与党は5日、原子力発電所の稼働延長期間を1980年までに建設された旧型原発で8年、81年以降の新型原発で14年とする方針を決定した。今回の合意により稼働延長期間をめぐる与党内の争いは決着したことになる。ただ、稼働延 […]

独政府与党は5日、原子力発電所の稼働延長期間を1980年までに建設された旧型原発で8年、81年以降の新型原発で14年とする方針を決定した。今回の合意により稼働延長期間をめぐる与党内の争いは決着したことになる。ただ、稼働延長に反対する野党3党は違憲訴訟を起こして阻止する構えを見せており、与党方針が実現するかはなお不透明だ。

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ドイツでは2000年、中道左派の社会民主党(SPD)と緑の党からなるシュレーダー政権が原子力発電の廃止政策を導入し、各原発の稼働期間を原則32年とすることが決まった。現行法では2022年頃までに国内の原発がすべて廃炉となる見通し。

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一方、09年秋に成立したキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と自由民主党(FDP)からなる中道右派の現政権はこの政策を見直し稼働期間を延長することで合意した。ただ、延長期間の長さをめぐり関係閣僚間で意見の隔たりが大きかったため調整が難航。5日の協議でようやく合意が成立した。

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同合意によると、国内にある原発17基の延長期間は平均12年で、原発がすべて廃止される時期は2040年頃となる見通し。原発全廃の時期が現行法に基づく2022年(見通し)に新型原発の延長期間である14年を足した2036年よりも遅くなるのは、旧型原発の残存発電量を新型原発に移転できるため。

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今回の協議ではドイツで原発を運営するエーオン、RWE、バッテンフォール、EnBWの4社に課す(1)核燃料税(2)再生可能エネルギーの利用拡大に向けた資金拠出――についても合意が成立した。マスコミ報道によると、核燃料税は年23億ユーロで、2011~16年の6年間徴収。総額は138億ユーロとなる。また、再可エネの拡大に向けた資金拠出は2011、12年が各3億ユーロ、13~16年が各2億ユーロで、計14億ユーロに上る。

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政府は今回の合意に基づいた原発廃止法改正案を連邦議会(下院)の決議のみで成立させる方針を表明している。州の代表で構成される連邦参議院(上院)で与党が過半数割れとなっていることが背景にある。

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これに対し野党3党は参院回避を憲法違反と批判しており、与党が強硬姿勢を貫けば違憲訴訟に発展するのは確実とみられる。最大野党SPDのガブリエル党首は原発問題を次期連邦議会選挙の主要争点とする意向を表明している。

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